5.4の述語のパターンで少し触れた「補語(Complemento)」について、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
スペイン語の補語とは、一言で言えば「イコールの関係を作って、主語や目的語の『正体』や『状態』を補う言葉」です。主に名詞や形容詞がこの座席に座ります。
補語は、文の中の「誰」を説明しているかによって、「主格補語」と「目的格補語」の2つに大きく分かれます。
① 主格補語(Complemento predicativo del sujeto)
主格補語は、「主語 = 補語」の関係を作り、主語の性質や状態を補足説明する要素です。4.5で学んだつなぎ動詞(ser / estar)の後ろに続く名詞や形容詞がこれに該当します。
最大の特徴は、3.2や4.12でも学んだ通り、補語(形容詞)の性・数が「主語」に完全に一致して変化するという点です。
🔍 具体例
- Carlos es médico. (カルロスは [主語] 医師です [主格補語]。) $\rightarrow$ Carlos = médico
- María está cansada. (マリアは [主語] 疲れています [主格補語]。) $\rightarrow$ María = cansada(女性単数形)
- Los platos están rotos. (それらのお皿は [主語] 割れています [主格補語]。) $\rightarrow$ Los platos = rotos(男性複数形)
② 目的格補語(Complemento predicativo del objeto directo)
目的格補語は、つなぎ動詞の文ではなく、普通の他動詞の文において「直接目的語(〜を) = 補語」の関係を作る要素です。直接目的語の「名前」や、アクションの結果として「どういう状態になったか」を説明します。
この場合、補語(形容詞)の性・数は、主語ではなく「直接目的語」の性・数と一致させるのが絶対ルールです。
🔍 よく使う動詞と具体例
llamarse(〜という名前である)の元々の形である llamar(〜を…と呼ぶ)や、considerar(〜を…とみなす)、dejar(〜を…の状態にしておく)などの動詞でよく使われます。
- Nosotros llamamos a este gato Michi.
(私たちはこの猫を [目的語] ミチ [目的格補語] と呼びます。) $\rightarrow$ この猫 = ミチ - Yo considero a María inteligente.
(私はマリアを [目的語] 賢い [目的格補語] とみなしています。) $\rightarrow$ マリア = 賢い - Carlos dejó la ventana abierta.
(カルロスは窓を [目的語] 開けた状態 [目的格補語] にしておいた。) $\rightarrow$ 窓(女性単数) = abierta(女性単数)
💡 5.7 のまとめ
- 主格補語: 「主語 = 補語」の関係。形容詞の語尾は主語に合わせる。
- 目的格補語: 「直接目的語 = 補語」の関係。形容詞の語尾は直接目的語に合わせる。
5.7 演習セクション(本文直下に挿入)
✍️ 5.7 練習問題:補語の識別と性数一致
【問題1】 日本語の意味に合うように、括弧内の形容詞を正しい形(-o, -a, -os, -as)に変化させて空欄を埋めてください。
- 彼女たち(Ellas)は疲れています。(主格補語)
$\rightarrow$ Ellas están ( _____ ). 【cansado】- フアンはドア(女性・単数)を閉めた状態にしておいた。(目的格補語)
$\rightarrow$ Juan dejó la puerta ( _____ ). 【cerrado】- 私はこれらのお皿(男性・複数)を清潔な状態に保ちます。(目的格補語)
$\rightarrow$ Yo mantengo los platos ( _____ ). 【limpio】
🔑 解答と解説
【問題1の解答】
cansadas
- 解説: 主語 Ellas(女性・複数)の状態を説明する「主格補語」なので、形容詞も女性複数形の
cansadasに一致させます。
cerrada
- 解説: フアンが閉めたのは主語の自分ではなく、直接目的語である la puerta(女性・単数)です。「目的格補語」は目的語の性に引きずられるため、女性単数形の
cerradaが正解です。
limpios
- 解説: 清潔な状態にあるのは、直接目的語である los platos(男性・複数)です。そのため、形容詞も引っ張られて男性複数形の
limpiosになります。