スペイン語の動詞の多くは、4.2で学んだ「6つの座席(人称)」に合わせて形を変えますが、世の中には「特定の主語(人間や物)」を持たない現象もあります。例えば「雨が降る」と言うとき、雨を降らせている具体的な主語(犯人)は誰でもありません。
このように、具体的な主語が存在せず、基本的に「3人称単数形」の形だけで固定して使われる動詞のことを非人称動詞(または非人称表現)と呼びます。
日常生活、特に「天候」や「過不足」を伝える際に欠かせない超重要表現ですので、パターンごとに整理してマスターしましょう。
① 天候・自然現象を表す動詞(完全非人称)
天候そのものを表す動詞です。これらの動詞は、辞書には原形(-ar, -er, -ir)で載っていますが、会話で使うときは100%「3人称単数形」になります。「私は雨を降る」「私たちは雪が降る」といった活用は存在しません。
- llover (雨が降る / o $\rightarrow$ ue 語根母音変化) $\rightarrow$ つねに
llueve - nevar (雪が降る / e $\rightarrow$ ie 語根母音変化) $\rightarrow$ つねに
nieva
例文
- Llueve mucho hoy. (今日は雨がたくさん降っています。)
- Nieva en Madrid. (マドリードでは雪が降っています。)
② hacer を使った天候表現
動詞 hacer(本来は「作る・する」の意味)の3人称単数形 hace の後ろに名詞を続けることで、様々な天候の状態を表すことができます。英語の It is sunny. などに相当する、もっとも一般的な天候の言い方です。
- Hace buen tiempo. (天気が良い。)
- Hace mal tiempo. (天気が悪い。)
- Hace calor. (暑い。 ※直訳:暑さを作っている)
- Hace frío. (寒い。)
- Hace sol. (晴れている・日差しがある。)
- Hace viento. (風が吹いている。)
例文
- Hoy hace mucho calor. (今日はとても暑いです。)
③ haber を使った「〜がある(存在)」の非人称
動詞 haber の非人称(3人称単数)表現である hay(アイ)は、「〜がある、〜がいる」という人や物の存在を表す超重要フレーズです。
後ろに続く名詞が単数であっても複数であっても、動詞の形は一貫して hay のまま変わらないのが最大の特徴です。
例文
- Hay un libro en la mesa. (テーブルの上に本が1冊あります。)
- Hay muchos chicos de la clase. (クラスの男の子がたくさんいます。)
- Hay neblina. (霧が出ています。 ※天候の表現にも使えます)
💡 攻略のワンポイント:英語との違い
英語で天候を言うときは “It is raining.” や “It is hot.” のように、意味のない主語の It を置く必要があります。しかし、スペイン語ではそもそも主語を置く必要が一切ないため、Llueve.(雨が降る) や Hace frío.(寒い) のように、動詞から(1語で)シンプルに文を始めることができます。
タイポ(練習問ᡌ $\rightarrow$ 練習問題、進めてはださい $\rightarrow$ 進めてください)を補正し、4.8節の直後に挿入する「練習問題と詳細な解答・解説セクション」を作成しました。
4.8 演習セクション(本文直下に挿入)
✍️ 4.8 練習問題:非人称動詞(天候表現・存在の hay)
【問題1】 日本語の意味に合うように、天候を表す非人称動詞(llover / nevar)を現在形に正しく活用させて空欄を埋めてください。
- 今日は雨がたくさん降っています。
$\rightarrow$ ( _____ ) mucho hoy. 【llover(o $\rightarrow$ ue)】- マリードルドでは冬に雪が降ります。
$\rightarrow$ ( _____ ) en Madrid en invierno. 【nevar(e $\rightarrow$ ie)】【問題2】 動詞
hacerまたはhaberの非人称形(hace / hay)を適切に使い分けて、空欄を埋めてください。
- 今日はとても暑いです。
$\rightarrow$ Hoy ( _____ ) mucho calor.- 机の上に本が1冊あります。
$\rightarrow$ ( _____ ) un libro en la mesa.- 公園にたくさんの子どもたちがいます。
$\rightarrow$ ( _____ ) muchos niños en el parque.- 外は風が吹いています。
$\rightarrow$ ( _____ ) viento fuera.
🔑 解答と解説
【問題1の解答】
Llueve
- 解説: 天候動詞は常に「3人称単数形」で固定されます。llover は語根母音変化(o $\rightarrow$ ue)を起こすため、3人称単数現在形は
llueveとなります。
Nieva
- 解説: nevar も同様に天候を表す非人称動詞(3人称単数固定)です。語根母音変化(e $\rightarrow$ ie)が起きるため、正解は
nievaです。【問題2の解答】
hace
- 解説: 「暑い(calor)」「寒い(frío)」などの肌で感じる天候・気温の表現には、動詞 hacer の非人称形である
haceを使用します。
Hay
- 解説: 物(本)の「存在(〜がある)」を表すため、haber の非人称形である
hayが正解です。
Hay
- 解説: 人(子どもたち)の「存在(〜がいる)」を表す場合も
hayを使います。後ろの名詞が muchos niños と複数形であっても、動詞の形は hay のまま変化しません(han などにしないよう注意)。
hace
- 解説: 「風(viento)」や「太陽・日差し(sol)」などの天候状態を表す際も、動詞 hacer の非人称形である
haceを組み合わせます。